大判例

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神戸地方裁判所 平成8年(行ウ)22号 判決

原告

甲野一郎(仮名)(X1)

右法定代理人親権者父

甲野太郎(仮名)

同母

甲野花子(仮名)

原告

甲野太郎(仮名)(X2)

甲野花子(仮名)(X3)

被告

小野市

右代表者市長

廣瀬博司

右訴訟代理人弁護士

上谷佳宏

木下卓男

幸寺覚

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  争いのない事実及び〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。

1  平成八年七月一日、本校体育館において、頭髪の自由化に関する本件集会が開催され、原告一郎を含む全校生徒約七三〇名及び職員約三五名が参加していた。

生徒会長はステージ下の中央に着席し、一方生徒達は、ステージ下の生徒会の席をコの字型に囲むようにして、一年生の場合ステージに近い方から組順に並んで座っていた。

2  本件集会において、生徒会長が全校生徒に向かって話をしている際、生徒達が騒がしかったため、生徒会から静かにするよう注意があったが、生徒達はなかなか静まらなかった。

3  岩本教諭は、一年生の生徒全体に向かって、静かにするように注意していたが、一年生の生徒一人が後ろを向いてふざけており、生徒会長の話を聞いていなかった。これを見た岩本教諭は、生徒会が頭髪の自由化に向けて一生懸命働いており、各生徒一人一人にもこれに真剣に取り組んで欲しいとの気持ちから、右生徒に対して、静かにするよう注意し、同人の前頭部を平手で軽く押すようにして一回叩いた(本件行為)。本件行為の際、右生徒が丸刈りであったため、パチンという音がしたが、余り大きな音はしなかった。

この際、原告一郎は、本件行為の場所から一七、八列離れたステージに近い場所に座っていた。

4  以上の事実を認めることができ、これに反する甲三の記載は採用できず、他に右認定を左右するに足りる証拠は存在しない。

二  右認定事実によれば、本件行為は、騒いでいる生徒を静かにさせるために指導の一環として行われたものであるうえ、その態様も右生徒の前頭部を平手で軽く一回叩くというものであり、口頭による注意と同視し得るほどの軽度のものであるから、学校教育法一一条、同施行規則一三条が禁止する体罰に該当するとは到底言えない。そして、原告一郎が本件行為の場所から一七、八列離れ、しかも右生徒よりも、生徒会長のいるステージに近い場所に座っていたことも考え併せれば、原告一郎が本件行為を目撃したとは認め難く、仮に原告一郎がこれを目撃したとしても、本件行為の態様は、同人が岩本教諭に対して恐怖心を抱き、同教諭から指導を受けなければならないことにより精神的苦痛を被るようなものとは言えないし、原告太部及び同花子が、原告一郎を本校に通学させなければならないことにより、精神的苦痛を被るようなものとも認められない。

第四 結論

以上によれば、原告らの請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 將積良子 裁判官 下村眞美 桃崎剛)

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